アオマツブログ

青松輝(あおまつ・あきら)。短歌・批評など。Twitter:ベテラン中学生、YouTube:ベテランち。

複数性について(短歌12首)

 

 

注意力をできるだけ散漫にして よけられない夏がこっちへ来る

 

 

柔らかく髪の毛をかき上げるその淡い光で目の前にいる

 

 

歌ってる人だと思って見ていたら口パクだったことを言いたい

 

 

笑ってる顔が嘘っぽい 配管が剥き出しになってて今っぽい

 

 

多角形型に切られたキャンバスの変な絵画のような気持ちだ

 

 

ルールに沿ったり、無理やり離れたり、光がさすばかりのプールで

 

 

賭け金をどんどん巨大にしていって綺麗になる生活の細部は

 

 

どうしても言わなければならないことが初夏の晩夏のプール・サイドに

 

 

それぞれに目的があり乗り継いだ僕たちの無数のJR

 

 

いたる所で同じ映画をやっているその東京でもういちど会う

 

 

存在を知っているけど関わりはないものが好き 雪かきだとか

 

 

何か巨大なことが起こってる気がした、病院で/病院の近くで 

 

 

 

複数性について/青松輝

 (ネットプリント「第三滑走路 8号」より再録。2019年8月30日)

 

1998年3月15日生まれ。東京大学Q短歌会に2018年から所属。

 

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