アオマツブログ

青松輝(あおまつ・あきら)。短歌・批評など。Twitter:ベテラン中学生、YouTube:ベテランち。

所感20こ(2023)

 

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相変わらず何もしていない。なにかを作っても、作ったそばから消えていってるような感じがする。

僕は点数が必要ならなにをしてでも取るタイプで、死ぬほど勉強したこともあるし、カンニングをしたこともあるし、過去問をぜんぶ暗記していったこともある。だから、僕の言葉はいつも祝福されている。僕は祝福されるような言葉しか発さない。そのことをものすごくくだらないと思う。

星は、夜に光るから好きだ。

さいきん「けいおん!」にハマっていて、アニメを一話から順番に観ている。もともと可愛い女の子が出てくるアニメをほとんど観てこなかったのだが、「けいおん!」の女の子たちは、僕に可愛がられるためでなく、彼女たち自身のために存在しているから、安心して観れる。

やばい 止まれない 止まらない
昼に夜に朝にsinging so loud
好きなことしてるだけだよ Girls Go Maniac
- 放課後ティータイムGO! GO! MANIAC

あくまでも「Girls」が「Maniac」でいるためにこの曲が作られていることが、すごくうれしい。

夏に歌集(短歌の本)を出した。なんでも切れる剣をつくりたいと思って、5年かけてやっと本が出せた。でも、今のところ、僕の剣が世界を切り裂いているようには見えない。

短歌の本が大して売れないので、こうなったら小説を書いて芥川賞でもとるしかないか、と思っていろいろ練習してみてるんだけど、ぜんぜん書くことがなくて進まない。自分以外の人間について真剣に興味を持ったことがないので、自分ではないキャラクターが書けない。短歌は、自分が興味ある狭い範囲のことだけ書いてればよかった。小説も、登場人物が自分だけでいいなら書けると思うけど。

これまで、自分は他人を笑わせるのが好きなんだ、と思って生きてきたけど、最近になってようやく、本当はそうじゃないんだな、と気付いた。他人が笑ってても、大して嬉しくない。他人が笑っていないと不安だからそうしてるだけだ。

女の子は男の子に比べて自分を大人っぽく見せるのが上手い。でも、俺からは見えてないだけで、ほんとはちゃんと幼い部分がどっかにあるはずで、知らない若い男が、知らない若い女のことを「自分より大人で…」みたいな言い方で褒めてたり、自分から見て、誰か女の子が、年齢の割に大人っぽく見えてたりするときに、なんか切なくなる。でも別に、俺に切なくなる権利はない。

こういうこと書いてインターネットに載せなくても楽しくやっていける人生だったらいいのにな。何を書いてるんだ、ずっと。

最近ネットで読んだ、志磨遼平(ドレスコーズ)の昔のインタビューで、志磨が「ロックンロール」がジャンルでしかないことに絶望している、という話をしていた。

僕は本当にロックンロールは完全無欠なものだと本当に信じていたんですよ。だけど、あまりそうではないらしいと。やはり人間の限界にはロックンロールにはいかないわけですよ。やはり、生理現象ではなくて、文化、嗜みなんですよね。明日死ぬような人が曲を書かないわけですから。それを僕は生命維持装置のように大騒ぎしていた。じゃあ、諦めた男が何をまだ居残っているのかと言うと、ロックンロールはただの音楽なんですよ。音楽の一つのジャンル。皆、ロックンロールにいろんな意味を持たせるじゃないですか。「それ、めっちゃロックンロールしてるやん」みたいな動詞的に使われたりするじゃないですか。だけど、あくまで一つのジャンルでしかなくて、それ以上でもそれ以下でもない。
- 志磨遼平

この「ロックンロール」を、お望みのことばに入れ替えれば、そのまま僕とかみんなの人生の話になる。ほとんどの人生は、ジャンルと心中することを強いられている。

この前Twitterで、俺のツイートに引用RTでお怒りを表明してるやつがいて、なんだこいつ、絡んでくんなよ、と思って、そいつのツイートを見にいったら、フォロワーが10人くらいのアカウントで、NARUTOの終盤のストーリー展開にも怒ってたの、なんか悲しくて忘れられない。

愛はかならず最後に勝つだろう
- スピッツ「正夢」

愛は最後に勝つとして、そのとき負けるのは僕たち自身だと思う。

浴びるほどの金と名誉がほしい。本当に。

歌集を出してから、インタビューでメンタルヘルスの話について訊かれることが何度かあった。自分がそれについてなにか話す権利があるのか、といつも思うけど、作品についての話だから逃げるわけにもいかない。toeの「グッドバイ」という曲にこういう歌詞がある。

There is no one can understand me truly.
I do not go out and I will keep silence.
Everyone is mania in general.
You don't have time to sleep.
For to know others.
- toe「グッドバイ」

「Everyone is mania in general」という部分は日本語では「躁鬱がデフォルトで」と訳す、という話をどこかで見た。「Mania」って「躁鬱」って意味で使えるのか。躁鬱はデフォルト。それで、どうしよう。

将棋で、自分の玉が、次の相手の番ではどうやっても詰まされない形のことを「ゼット」というらしい。絶対に詰まない、の頭文字をとって、Z、ゼット。かっこいい。

ここまで読んで、みなさんはどう思われますか?

せっかく生きてるからには、希望とか永遠がほしいけど、希望とか永遠はどこにも見つからないから、今、なんとなく楽しいと思っているいくつかのことを、希望とか永遠だと勘違いして、とりあえず日々をやり過ごしてみる。

星は。

だが、文学の本質とは、いっさいの本質的限定を、文学を安定させそればかりかそれを現実化するようないっさいの確率作用をのがれ去る点にある。
- モーリス・ブランショ『来るべき書物』

僕はずっと、なにかから逃げるために、文章を書いたり、勉強をしたり、誰かと話したりしてきた。僕が逃げるためにしてきたことが、いま僕を生きさせている。それを喜んでいいのかどうか、今はまだよくわからない。

もっと音楽のボリュームを大きくしないと、他人の気持ち悪いことばが入ってきて、頭がおかしくなるよ。

 

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