詩(4篇)
こんにちは。
ここ一年ほどで少しずつ書いていた詩、4篇です。よそで既に載せたものも2篇入っていますが、思い立ったのでまとめて公開します。
(2021 7/2 青松輝)
dreaming
邪なきもちで見てもいいのは、花でみたされたところの青いときの環。浮遊している花のこころの、裏切るときの、青い環。
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飛行機をイメージするとき、かならずよぎる、同時多発テロの映像。僕たちはたしかに一緒にいた。あなただけはそれを知っているという妄想によって、恋はわたしに恋することができた。
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あなたたちは、すでに夢の世界に入りこんでしまっている。でも、脱出は可能。なぜって、飛行機が緊急着水した場合に身につける救命胴衣が、各座席下またはひじ掛け下など、すぐに取り出せる場所に備えられています。
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青いその環は、わたしを裏切る。頭からかぶって着用します。幼児用も用意されています。緊急時以外には、お手を触れないようお願いします。青いその環の、ふしだらな世界の、系、
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抒情を抒情せよ。それをあなたたちが見ている。
花嫁尾行
花嫁を尾行している。
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トンネルを抜けると急に、明石海峡大橋が見えた。いっきに視界が青くなって、助手席からは橋を吊り下げている柱がどーんと見える。視界が、柱と、橋を吊り下げているワイヤーで、左右に区切られていて、縦に長い柱がなにか崇高なものに見えた。
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いい感じのカメラで、可愛く撮られるのって、そんなに嬉しいことなんだろうか?
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映画は全編で3ヶ月以上の長さがあったから、エンドロールを見るだけで半日以上かかった。そのあいだ席を立ったり座ったり、席を立ったり座ったり、席を立ったり座ったり。どんな風に撮っても白飛びする。
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聞いてる?
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酒癖が悪い人は好きじゃないと思っていたけど、とんでもなかった。タブレット端末をさわればさわるほど、世界が徐々にダメになっていってるのがわかった。僕も例外じゃない。
◇
やけになって、トゥレットについて何度も話す。そのときにわたしたちが包まれている、病んだ光の、光の私淑。
capsule
ごめん、もう好きじゃないんだ。
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ぜんぶの詩が恋愛詩なんだと思う、って言ったら、笑われるかな。紙はカプセルに入っていた、おみくじみたいに折り畳まれていた。
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もういない誰かに僕は話しかける。ミルク。化粧品売り場に行くときも手をつないでいたはずだけど、そのときのことがあいまいにしか思い出せない。胡桃。
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舞台のマクベスが死ぬところを見ている、神経質な女の子が。もういやだ辞めたいと思った、何回も何回もひとりの部屋で。きっとすぐにそのことを忘れて、忘れたということも、すぐ忘れるだろう。
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喪失はいつも、あらかじめ与えられている。カレンダー、カッター、かならず迎えにいくって、恢復のまえに、こわれた韻律で伝えてくれ。
Vanilla
山梨県にほんとうの雉がいる。じつは山梨県じゃなくてもいいんだ。じつは雉じゃなくてもいいんだ。きたない地図にほんとうのテレパシーがある。じつはきたない地図じゃなくてもいいんだ。じつはテレパシーじゃなくてもいいんだ。
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バニラアイスのバニラの匂いを思い出してみて、と言われる。それは急にはわからないよ。ごめんね。具体的に匂いは思い出せないのに、きみがそのとき、何か感覚しているのは、なんなんだろう。
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半島が抒情するとき、金箔のようなきみの左右が釣り合って、僕は激情に分け入る、ブーメランのように放たれた言葉が、ブーメランのように身体に刺さる、それまでさようなら、アディオス
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十字架というのは縦長になってるでしょう。あれは、縦向きってのが、つまり、重力が、実存っぽいことのメタファーとして働いてるから、だから縦書きと横書きって全然違います。とくに詩においてはそうです。
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エアーマンって知ってますか?エマーソンじゃなくてエアーマン。エレメンタル・ヒーローの方。「エアーマンが倒せない」の方じゃなくて。「エア」マンじゃなくて、「エアー」マンじゃないとかっこよくないんだと思う、あれは。
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boku no
ishiki ga
sonouchi
sumiwatatte
kajyou(過剰) na
shimeikan wo obiru koto wo
aete
"shi(詩)" to yobu.