アオマツブログ

青松輝(あおまつ・あきら)。短歌・批評など。Twitter:ベテラン中学生、YouTube:ベテランち。

夏が終わる前のいくつかの感想(日記)


 

 短歌の記事(こういうの)

 

vetechu.hatenablog.com

 

ばっかり書くのが疲れるから、「ふつうのブログ」っぽいことを書こう書こうと思ってたら結構経ってしまった。深夜に書いてるから変なこと書いてる可能性が高いけど、深夜じゃなかったらそもそもブログなんて書こうと思わないから難しい。

 

 

 きのう(14日)テレビ番組の収録に行ってきた。関西ローカルのバラエティ番組のクイズコーナーみたいなやつで、大学のクイズ研経由で紹介してもらったんだけど、東京からの交通費が出て帰省の代金が節約できたのでかなり助かった。10月に放送があるみたいなのでまたTwitterで告知します。言ってもテレビは金を持ってるなーと思った。あと、クイズコーナーで対戦相手だった、番組が用意してる天然キャラの一般人が10問目ぐらいで急にボタンを押して「キチガイ!!!」と回答して(当然誤答、)スタッフもタレントもビックリ、みたいな一幕があって笑ってしまった。「キチガイ」という言葉が放送禁止用語だということを知らなかったらしく、合ってると思って答えたらしい。めちゃくちゃテレビカメラが回ってるところを大声で「キチガイ」と叫ぶ、っていうのがシンプルすぎて笑っちゃいけないけど笑ってしまった。さすがにびっくりした。

 

 クイズといえば最近、ネットの通販サイトで自分のクイズの問題集を売ってて、2か月前に売り始めて、1冊1000円で90冊ぐらい売れて、サイトの利率が8割なので2か月で72000円儲かった。かけた手間で考えたら全く割りに合ってないけど、自分のやってきたことがお金になるとうれしい。というか2か月で72000円入ったのが普通にうれしすぎる。でもフジロックを見に行ったりしてもう殆どなくなりました。中3~高1くらいでめちゃめちゃ聴いてたアジカンASIAN KUNG-FU GENERATION)をフジロックで観れたのはかなり感慨深かった。フジロックでは演奏してなかったけど高1の頃めっちゃ聴いてた曲のURL埋め込んでおきます。夏もあと1か月くらいで終るんだなー。

 


Natsusemi - Asian Kung-fu Generation [Sub Español] [HD]

 

 

 クイズとお金の話をしたけど、21歳になるとお金とか今後の生活みたいなことが明確に視界に入ってくるから、人生で価値をおくべきこと、みたいなものについて考える時間が増えた。もともとよく考えるタイプだとは思うけど。今自分が学業以外に本格的に取り組んでることってクイズと短歌で、もうちょっと熱量は低いけどファッションとか芸術に興味があるけど、4つとも世の中の事象の中でかなり儲からない部類に入ると思う。自分は東大に通ってるけど、処々の事情(まあほぼ性格だが)で「勉強ができてすごい自分」とか、「(いわゆる)エリートですごい自分」みたいなことで満ち足りることのできないタイプなので、というか要するに学校が嫌いなので、勉強(またはその先の社会人としての地位)以外の、自分が本当に好きでやっていることが世間的に良いと思われる可能性はあまりないんだなと思うと残念。

 

 でも自分が「儲からない部類のこと」をやるのは、「儲かること(学校とか仕事とか)」に対する逆張りとしてやってるんだろうな、とも気付いているので何とも言いがたい。あと自分が拗らせてるだけのくせに「周りのみんなは東大に通ってるだけで満足して生きていけていいよな~ 普通の東大生になりたかった」みたいな感じのこと言うやつはそれはそれでメチャクチャキモい。「普通の東大生」なんてどこにも存在しない。

 

 

 どんなジャンルのコンテンツでも、〈若い時は尖っててめちゃくちゃセンスあったのに、年取ると普通にポップな事やるようになって残念だな……〉と思う事ってあると思ってて、10代の頃はそういうもの、例えば音楽だったり、お笑いだったりでも結構敏感に〈残念だな……〉を感受するタイプだったんだけど、最近徐々に捉え方が変わってきた気がする。

 

 僕はそんな風に若くしてセンスを発揮してそこそこ売れる、みたいな経験をしたことがないから想像でしかないけど、若くて最先端のカッコいい事してる状態で、周りからは褒められるけど、結局自分は感度の高い客にしかウケてない、世界を何も変えれてない、みたいな孤独感と向き合い続けるとどうしても〈ポップ〉にならざるをえないんじゃないかなと思う。自分のやりたい事100パーじゃなくてもいいから、とにかく世界を変えるためには皆にちゃんと説得力を持って届ける必要があるんだ、みたいな考えに、志が高いほど余計に至るんじゃないか。

 

 日本のここ数十年の思想家的な系譜でも、吉本隆明柄谷行人あたりの人が「年を取ってごくごくフツーの左翼おじさんみたいなこと言うようになったよね~」みたいなdisを浴び始めるのもそういう流れなのかな。東浩紀もそういう「社会全体をちゃんと動かすことこそ倫理なんだ……」みたいな使命感が強いからあんな感じの活動になってるのかなと推測している。みんな寂しかったんだろうなと考えると何とも言えない気持ちになる。

 

 言い尽くされた〈天才は孤独だ〉みたいな話になるけど、でも、それこそ自分にしか持ってないビジョンが本当にある人って、たとえば偉大な数学者とか、音楽家とか、まあなんでも例はいいけど、本当にどうしようもなく寂しいだろうな~と思う。めちゃくちゃ優れた物を自分が生み出して、世間でめっちゃそれが広がって、それでもなお世界の殆どがクソアホなやつだったり、全然センスない奴だったり、を実感する瞬間ってどんな気持ちだったのかな、みたいな。

 

 

 最近そういうこともあっていわゆるポップな音楽とかお笑いとかに興味がある。たとえばYoutubeではめちゃくちゃアメトーークの動画とか見たり。音楽ではこの一年ぐらい定期的にRIP SLYMEYMOのライブの動画を見たりSpotifyで聴いたりしてる。

 


RIP SLYME - ブロウ

 

 RIP SLYMEの曲ってめちゃくちゃポップで歌詞も一個一個はありがちだけど、全体としてみると個性があってしかもちゃんと良い。まあでも売れてるから曲が良いのはたぶん当然なんだけど、ラップという文化そのものとか、自分たちメンバーの個性とかそれを好きでいるファンとかに誠実な感じがして安心できる。ラップという文化そのものへの造詣別にないから適当に言ったけど。

 

 でも、一般化して何が世間に対する「正しい媚び」で何が「間違ってる媚び」なんだ、となると判断が難しくて何とも言いがたい。個人的にはその媚びの、自分たちが売れる事とかじゃなく本当に良いものを本当にいい形で世界に広げたいっていう意思の強弱だと思うけど、客観的判断のしようがないから……  みたいなことをまるまる吹き飛ばすポテンシャルを〈いいポップ〉は持っている。「溢れるヴァイブスとこぼれるイメージとありったけの愛で イェー♪」の部分に、陳腐さと同時にめっちゃ力がある。

 

 

 そういえばフジロックでAmerican Footballというバンドのライブを観た。いわゆるインディーロックとか好きな人は知ってる人もいると思うけど、彼らはもともと別に有名でもなく、ただ普通に1枚アルバムを発表して静かに解散してたのが、10年以上かけて徐々にネット等で評価されていって世界的に有名になったバンド。もともと100人くらいの箱で演奏していたのが、最近人気が沸騰して再結成してからは巨大な会場でバンバン演奏するようになったっていう。超ざっくり言えばはおじさんのシンデレラストーリーみたいな。メンバー自身がインタビューで「俺たちのストーリーは映画みたいだ。実際、他のバンドもよく再結成してるけど、俺たちはバンドといえるような代物じゃなかった。バンドというより、学校の自由研究みたいだった。」って言うぐらい。

 

 彼らは、さっき話したような〈ポップ〉がどうとかの話とは全然違う流れにいる。別に「自分にだけ見えているビジョン」とかの自覚もぜんぜんなしに、やりたいように音楽を作って、それが気付いた時には多くの人に届いていた。みんなが聴きに来るような存在になってて再結成せざるをえなくなった、という。そういうパターンも世の中にはあるんだなと思える。

 

 やばい大雨の中のライブだったけど感動した。ドラムの奴がトランペットを吹く曲あったよな~ってライブの前に話して、ライブ後にトランペット間違えてたな~って話で盛り上がって、そのあと出店のピザがおいしかったりめちゃめちゃ良い日だったけど、同時に大雨すぎてくるぶしぐらいまで水に浸かったりもして最悪な日だった。最悪と最高の状態が同時に来るぐらいの方が、最高さが印象に残る、っていうのは宗教とかの核心を握っているような気がした。そういう日をあと何回、この夏が終わるまでに作れるかが問題になってくる。これを読んでる人は何回作るんだろうかとも思う。そういうのが問題になってくるのだけが夏の取り柄なんだろう。

 

 

 短歌の話はやめよう、と言いつつクイズと音楽の話ばっかりしてしまった。自分語り成分が強くならないか心配になってしまって議題が欲しくなってしまう。結局いつもイマイチ「ブログ感」みたいなものを出せないので直したい。ちなみに俺の思ってる「ブログ感」は歌人の初谷むいさんが最近やってるブログ。おもしろいし「今日の短歌」も韻律がムチャクチャやってたり自由にやってる感じがして好き。

 

 8月中に短歌関係の記事も上げようと思ってるので暇だったらまた読んでください。最初に書いたクイズの問題集も買えるのでよかったら。リンクを最後に貼っておきます。

 

 

4000文字も書いてしまった。言葉が多すぎる。初谷さんのブログの形式をパクって最後にブログ感を出そうと思います。じゃあまた。

 

◇今日の音楽◇

The Summer Ends/American Football

 


American Football - The Summer Ends

 


◇今日の短歌(4首)◇

 

そう 夏が終わった瞬間に誰もが地下鉄のホームに降り立つ

 

花柄のワンピースを着ていま僕は菜の花畑のあかるい過去で

 

よく使う駅のよく来る道なのにすこしだけ観光地の匂いだ

 

アメリカンなノスタルジーに浸って未来の、さらにその先のことを

 

(2019年8月15日、青松輝)


 

 

初谷さんのブログ

hmui.hatenablog.com

 

クイズの問題集のリンク

q-tak.com

 

American Footballのインタビュー

www.vice.com